牡鹿半島の中ほどにある鮫浦湾で、ホヤとカキを養殖する漁師、渥美貴幸さん(42)=石巻市谷川浜=は10月中旬、今季終盤のホヤを水揚げした。加工場で一つひとつ丁寧に殻をむく。仙台市出身の妻、智里さん(41)との二人三脚だ。
4年かけて育てたホヤだが、拳ほどの大きさもない小ぶりなものばかり。三陸の海は近年、高水温の影響などで多くのホヤが死滅し、生き残ったホヤも成長が悪い。渥美さんは今年、水揚げが8割減の大打撃だ。これから出荷が始まるカキも死滅が多く、水揚げの減少は避けられない。
「このままでは漁師がいなくなってしまう」。高水温の被害にあった漁業者が資金繰りで借り入れをする場合、宮城県と市が利子を補給する支援策はあるが、二の足を踏む漁師は多い。「結局は借金になるから」
浜の苦境、政治家は知っているのか
海の高水温傾向はこの先も続…